兵庫県神崎郡市川町、坂戸(さかど)。
記録の少ない、市川西岸の小さな村。
坂のたもとに、姫神と子どもらの声。
坂戸という名の由来を記した文書は、見つかっていません。江戸時代の石高や領主を記した帳面も、手もとの調べではまだ出てきていません。古代の神崎郡が市川を境に東西へ分かれたとき、このあたりは西側の神西郡になった——確かに言えるのは、そこからです。記録が少ないことも、村の歴史のひとつ。分かったことから、このページに書き足していきます。
村には社がふたつあります。ひとつは姫宮神社。まつられているのは玉依姫命——神武天皇の母とされる姫神で、例祭は10月17日です。となりの奥の姫大神社も同じ玉依姫命をまつっていて、このあたりに姫神への信仰が重なっています。もうひとつは柴田神社。こちらは由緒も祭神も、記録が見つかっていません。それでも地図に名が残り、村人が守ってきた社です。
明治22年(1889年)、坂戸は甘地ほか6か村とともに甘地村となり、昭和30年(1955年)の合併で市川町の大字になりました。平成3年(1991年)には奥などとともにほ場整備が完成し、田んぼはいまの形になっています。
いまの坂戸には、ちょっとめずらしい学び場があります。デモクラティックスクール「まっくろくろすけ」——時間割も、先生からの一方的な授業もなく、学校のことは子どもたちがミーティングで話し合って決める学校です。1997年にはじまった、日本のデモクラティックスクールの草分けのひとつ。記録の少ない小さな村が、いちばん新しい学びの形を育てている——坂戸のいちばん面白いところです。